研究テーマ − 研究紹介 《CT/MRI灌流画像表示法の標準化》

研究の背景

急性期脳梗塞の画像診断において,CTあるいはMRIによる灌流画像は,特にペナンブラの判定に重要な役割を果たす.灌流画像の各種パラメータマップは,通常カラー表示されるが,これには2つの問題がある.

第1に,パラメータ値とカラーマップを対応づけるLookup Table(LUT)が使用する装置により異なる.いずれの装置でも,高値に赤系,低値に青系の色があてられている点では共通しているが,中間値の色調や範囲にはかなり大きなばらつきがある.

第2に,前述の拡散強調画像の場合と同じく,表示条件(ウインドウ幅,ウインドウ値)により画像の見かけが大きく変化するため,低灌流領域の範囲を目視的に把握することが困難になる.

異なる装置,施設間で灌流画像を比較できるためには,この2点について標準化が必要である.

ASIST-Japan の取り組み

第1の問題,すなわちLUTの標準化について,ASIST-Japanは下記に示す標準LUT(a-LUT)を提案している.これは,既存の各種LUTをあらためて検討し,共通点を洗い出すとともに最も妥当と思われるものを新たに考案したものである[1].a-LUTは,既にいくつかのメーカーのワークステーション上に実装されている. ASIST-Japanが推奨する標準LUT(a-LUT)のデータはここからダウンロードできる

第2の問題,すなわち表示条件の標準化について,ASIST-Japanは,拡散強調画像表示の標準化に順じて下記の方法を提案している[2].

脳灌流パラメータ画像の健側半球のROI平均値をAとするとき,
そのパラメータ画像のウインドウ幅 = 2A
そのパラメータ画像のウインドウ値 = A

健側大脳半球のROI値を計測し(図a),上式から求めたウインドウ幅,ウインドウ値を用いることにより,灌流画像の表示条件を標準化することができる(図b: 標準化前,図c: 標準化後).

典拠資料
[1] Kudo K et al. Standardization of analysis methods in CT and MR perfusion imaging. 18 th annual meeting of Symposium Neuroradiologicum (Adelaide, March 2006)
[2] Kudo K et al. Evaluation and minimization of the difference in MR Perfusion maps among software. 14th annual meeting of International Society for Magnetic Resonance in Medicine (Seattle, May 2006)